ショパン「前奏曲集」が魅了するもの
2020年10月に久々に弾いたら全然弾けなくて、11月にようやく全曲演奏ができた、ショパン「前奏曲集 Op.28」。
それ以降、弾くたびに1曲ずつさらった方が良い、と思いつつ、時間を見つけてはだらだらと全曲演奏を繰り返しています。
時間は変わらないですが、回数をこなすうちに少しずつ全曲通して弾くことに抵抗がなくなってきました。
うれしい!
今までさんざん1曲ずつさらったものの、思ったようには成果がでませんでした。
実力が足りない、と言われればそれまでです。
しかし、難易度的にはそれほど高くない曲も含まれています。
何より短い曲が多いです。
それでも、手も足も出ない。
ところが、ここ数か月、たどたどしくも全曲を通して数回弾いてみると、何となくどの曲も少しずつ良くなっているような気がします。
錯覚かもしれないし、慣れなのかもしれません。
しかし、ショパンは全24曲を通して弾くことで、奏者に何かしらの影響を与えるように、この素晴らしい曲集を設計していたのだとしたら、どうでしょう。
普通では考えられないことかもしれませんが、ショパンならできるかもしれない、とも思えます。
思えば、それまで「胃薬のCMと雨だれが入った曲集」という認識だったこの曲を、アルゲリッチの圧倒的な演奏で聴いて最初に魅了されたのも、個々の曲ではなく、その大きな世界観によってでした。
しばらくは時間とエネルギーがある時には、全曲演奏をして、ピアニズムの全てが織り込まれた、24種類の宝石を同時に楽しみたいと思います。