ささやきはよく届く
ささやいた声は想像以上に遠くまで届くような気がします。
物理的な音量がない方が、注意をひきつけるから、というのもありますが、それだけではないでしょう。
ささやくためには条件が必要で、普通に声を発するより、全体のより良いコーディネーションが求められるからではないか、と考えています。
普通の発声より空気を意識的に使うように思います。
アレクサンダー・テクニークのレッスンでも使われる「ウィスパード・アー」もその制限を利用しているのではないか、と予想しています。
違っているかもしれません。
でも、いいのです。
ささやいてみるのです。
ほんのたまに、上手くいきます。
空気の間をサーっと響きが伝わっていきます。
できない時は、一日中あれやこれやと工夫します。
そして、ほとんど無駄骨に終わります。
でも、いいのです。
オペラでも上手く使うと絶大な効果を発揮します。
ソット・ヴォーチェ(sotto voce 英語でwhisper)とかメッツァ・ディ・ヴォーチェとか言います。
ソットは英語のunder、メッツァはhalfです。
メゾ・ピアノ、メゾ・ソプラノと同じです。
オペラのささやき、と聞くとまず最初に思い浮かぶのが、ガッリ=クルチとスキーパのこのデュエットです。
劇場ではどんなふうに響いたのでしょう。
想像がたくましくなります。